森子大物忌神社祭礼(もりこおおものいみじんじゃさいれい)
開催地 由利
森子大物忌神社境内は、滝沢修験組織の活動拠点であり、鳥海山へ通じる滝沢口の登拝道が開かれています。神社境内は秋田杉に囲まれて、昼でも薄暗く、修験の聖地としての雰囲気に満ちています。神社は八乙女山中腹に位置し、一ノ鳥居から社殿までは、約300段の急峻な石段が築かれています。この大物忌神社で、江戸時代から続く祭礼が、四月第三日曜日に行われています。神輿は米俵十俵分(約六百㌕)と言われ、前夜、御幣灯籠に導かれ神社のある八乙女山を下り、旅所に向かいます。当日は祭式の後、森子・明法集落内を巡行し、神社に戻りますが、圧巻はなんといっても、神輿を担いだ氏子若者が300段もの山道を一気に登りきる姿であり、荒々しい魂のお叫びにも似て人々に感動を与えてくれます。
乱声
森子の大物忌神社の祭礼では、神社に神輿が還御されるとき、神輿担ぎの人びとや祭り関係者皆で、拝殿の扉や壁などを激しく叩き、大声を上げて、まるで乱痴気(らんちき)騒ぎのようになる。これは、神輿を神輿殿に納めるときも同様である。かつては拝殿の扉がしばしば叩き壊されるほどの大音であったという。実はこれはれっきとした儀式のひとつで、乱声(らんじょう)というものだ。乱声は、元来厄払いや魔除けとしたもので、神に呼び掛けるためにする掛け声の一種であったとされる。